2003年8月7日
以前よりWilliamsonアンプに興味があり、BBSに書き込みしたところ。”破れ傘、刀舟”さんから、MQ-70シャーシを頂戴することになりました。
有難く頂戴しましたが、もう後には引けない状況でもあります。
まぁ、それくらい自分を追い込んでおかないと、いつ作るか判りませんし(^^;
とりあえず、頂戴したアンプが、どういう過程で完成するか、ホームページでタイムリーにご報告したいと思います。

まずは、到着したMQ-70です。
MQ-70シャーシ+ボンネット、LuxkitA3500のPowerトランス、Luxマーク6240G×2本、松下マーク6AQ8?×1本を戴きました。
MQ-70
イメージトレーニングも重要ですので、手持ちのトランスFE25-8と、真空管6L6GCスベトラーナを載せてみました。
チョークとコンデンサーのところを上手に処理すれば、綺麗になると思われます。
MQ-70
今後の予定:
内部配線材、パーツの撤去、MT管ソケット新調、USソケット秘儀レストア。
Bschにより回路図作成。
基本回路はオリジナル回路と重視しつつ、ラ技ライター”破れ傘、刀舟”さんの回路もパクリながら、微調整はあると思われます。

2003年8月7日
”破れ傘、刀舟”さんからLuxのチョークを戴きました。
何から何まで、戴き物です(^^;
4705

2003年8月13日
Bschで回路図を描いてみました。
まずはアンプ部。
アンプ部回路図
つぎ、電源部。
電源部回路図

B2電源へのチョークを何にしようかなぁと模索中です。
春日無線変圧器製で4B50MAというのがあるようで、5H50mAで大きさが60×35×35とちいさく、シャーシ内部に納まりそうです。
そのうえ、@800円と安く、送料が悔しいくらいです。

ウィリアムソン氏が1949年8月にWireless Worldに掲載したオリジナル回路図を紹介します。
1949年版オリジナル
2003年8月14日
電源トランスの考察
頂戴したトランスはLuxkit A3500用の電源トランスです。
これは下図のような電圧・電流容量です。
S1757トランス
まず、B電源用の巻線が350V350mAとありますが、ブリッジ整流した場合は電流容量は0.65倍程度になると思われます。
よって、227mAになります。
コンデンサーインプットする手前で抵抗を入れることにより、もう少しは頑張ってもらえると思うので250mAをMAXと仮定しておきます。
初段5mA、PK分割5mA、プリドライバー10mAとすれば、L/R両チャネルで40mA消費します。
残りの210mAが電力増幅段に使用できる電流です。
210mA/4=52.5mA
52.5mAが一つの球に流れる電力です。
電圧はどうなるでしょうか?
単に350Vをブリッジ整流すると、490V近く出力されると思われます。
500WVの電解コンデンサーの耐力ギリギリです。
しかし、ぺるけさんのトランス出力シミュレーションによれば、巻線内部抵抗等もあり420V程度になろうと予想されます。
トランス出力が420Vと仮定し、ザックリ見積もりでロードラインを引いてみました。
「Williamsonは差動です」との力強いお言葉を戴いておりますので、8kΩの1/2である4kΩロードラインです。
ロードライン
結構いい感じだと思われます。

次にプリドライバー段のロードラインです。
ロードライン
ま、こんな感じでしょう。

初段、PK分割の考察:
”破れ傘、刀舟”さんの記事を抜き出してみました。
初段まわり
この抵抗値と電圧から、電流i1とi2を導き出しますと、
i1=3.9mA、i2=4.5mAとなります。
ここは互いに位相が反対なので、電流値が同じになれば、電源からは平衡アンプと見なせるワケです。
この部分については、一旦完成した後の宿題としておきたいと思います。

2003年8月18日
出力管のカソードに入っているVRの許容W数をケチる為に、ちょっと定数変更してみました。
アンプ部回路図
電源部回路図
”金ちゃん”さんからS-1757はブリッジ整流コンデンサーインプットで表示通り350mA取り出せるとコメント戴いていますので、当初の考えを改めて55mA〜60mA/球程度の電流を流そうと考えております。
春日無線変圧器さんへ4B50MAの注文をしました。
また、12AU7EH(エレハモ)とソケット、コンデンサー等をアムトランスさんへ注文しました。
徐々に部品が揃ってきます。

次はシャーシ内レイアウトを考えて行こうと思います。
まずは、シャーシ内の要らない部品取りですね。

2003年9月25日
嗚呼、停滞してますね(^^; ええっと、既にシャーシは綺麗に清掃しました。
清掃済みシャーシ
Lux純正のUS-8ソケットを再生します。
程よく、OMRONのPL-08の内部ピンが使用できるんです。
以前、LuxkitA3500のレストア時にも、この再生術を施しました。
これが、純正のUS-8ソケットです。ピンは外してあります。
Lux純正US8
これがOMRONのPL-08ソケットです。本来はリレーのソケットなんですが、100円/個程度で廉価な割に、U字型のピンもしっかりしていて、VeryGoodです。
PL-08
そのU字型の内部ピンを取り外したところです。
PL-08内部ピン

そうそう、実は大変高価なスピーカーターミナルが付いてきていたんです。
西ドイツ製のガッシリしたターミナルです。
SPターミナル
これはアルミ板を加工して、格好良く取り付けてやろうと思います。

ACの電源に関して、パソコンでお馴染みのインレットを使おうと思っているんです。
シャーシが鉄なので、ちょっと加工が大変そうですが、なんとかやってみます。
AC入力部なんとかココまで穴あけできました。
AC入力部ACインレットを差し込んでみました。
オーディオ入力部RCA入力ジャックを取り付ける為のスペーサーを紙エポ基板で作りました。
AC入力部RCAジャックと取り付けた様子です。

購入したパーツの紹介をします。
真空管:
6L6GCスベトラーナ製6L6GC
12AU7EHエレクトロハーモニクス製12AU7EH
どちらもロシア製ですが、見た目はしっかりした造りをしています。

4B50MAチョークは春日無線の4B50MAです。
JJブロック電解コンデンサーはJJ製です。
solenフランスSolen製カップリングコンデンサー
arf223アムトランスブランドのカップリングコンデンサー

写真は撮っていませんが、アウトプットトランスはISO(TANGO)のFE-25-8です。
抵抗は一般品ですが、酸化金属皮膜抵抗と、金属皮膜抵抗、セメント抵抗です


2003年10月4日
まず、電源部分の確認から実施しました。
BBSでは”破れ傘、刀舟”さんにJJ製コンデンサーは駄目と忠告を戴きましたが、買ってしまった物、ブルーになりつつ使用することにしました。
忠告通りなのか、トラブル発生です。
”シュー”と”チリチリチリチリ”の混じったような音が聞こえてきます。
どうもJJ製コンデンサーです。
いつ爆発しても構わないように、半透明のコンテナBOXの蓋を被せています。
30秒程して触ってみると、結構熱い。ヤバイ!!
冷ましながら、電源を入れたり切ったり・・・
暫くすると電源に一番近い50μが落ち着いた。
その代わり、次の100μが異音と共に熱くなってきた。
心の中で「最悪じゃ〜〜〜っ」と叫んでいた(ToT)
100μが落ち着くと、次の50μの順番がやってきた。
途中、50Ωの酸化金属皮膜抵抗が焼損した。
益々ブルーになってくる(ToT)

2003年10月5日
突貫工事でアンプ部を一気に作り上げ、仮配線部もありのまま無帰還で音出し成功(^^;
プレート電圧400V、プレート電流60mAで、少し赤熱していた。
整流直後の50Ω抵抗を200Ωに変更して、プレート電圧が落ちたので、赤熱は止まりました。
無帰還の状態なので、低音が軽く、その他Lchにハムが乗っていました。
初電源ON

2003年10月13日
朝からアンプ調整に取り掛かりました。
先週は音が出るだけの確認で、リスニング位置で聞かなかったので気付かなかったのですが、どうもステレオを聴くとおかしいです。
AFジェネレータとオシロを繋ぎ、位相確認しました。
なんと、Lchは逆相でした(^^;
正しく配線し、無帰還で数時間程、音を出してみました。
Lchのハムもスピーカーに耳を付けて聞こえる程度なので、普通のリスニングポイントでは聞こえません。
位相も正しくなったので、普通に聞こえます。
低域の締りが無く、軽〜〜い感じですが、シングルアンプだと思えば、こんな感じかなぁという程度で、とてもクリアーな印象です。
ざっと、無帰還でのデーター取りをしました。
残留ノイズ:(聴感補正無)L:3mV,R0.4mV
残留ノイズ
ノンクリップMax出力L/R 8W(8Vrms 8ΩR@1KHz)
ON/OFF法D.F.=1.8(8ΩR時1Vrms 無R時1.55V)
裸利得45.45倍(1KHz Lch)
周波数特性
#グラフのバックには”破れ傘、刀舟”さん作のアンプデーターです。
無帰還周波数特性

なんと、無帰還なのに・・・-3dBポイントは85kHzです。
高域がグンッと延びています。
真空管でもこんなに高域まで延びるのか・・・と思ってしまいます。
驚異的です。

内部配線の様子です。
内部配線

一気にNFBも掛けてみました。
ラ技2003/3では約1.5kΩなので、同様に1.5kΩとします。
フジ子ヘミングのピアノとサイモン&ガーファンクルを聴いてみました。
すごくイイです。20dBもNFBが掛かっているのかと思う程のクリアーな音です。
出張準備もありLuxkitA3550に戻した時にA3550が大人しく感じました。
A3550も決してモッチャリした音ではないですが、Williamsonアンプは少し緊張感もありながら、かといって頭の奥の方が痛くならない絶妙なバランスです。

ロードラインを再考してみました。
FE25-8の8Ω出力しか配線していませんので、6Ωのスピーカーも持っているので、その場合のロードラインの確認です。
ロードライン再考
全く問題なさそうです。


2003年10月24日
ちょっとオシロを繋いで見ました。
なんか変です。
この波形は何だろう??
発振
そうです。
約1.3Mhzで発振しています。
8Ωの抵抗負荷が繋がっているのに、こんなに発振しています。


2003年10月25日
もう一度オシロを繋いで、何処で発振しているのか探してみます。
まず、LchとRchの発振の具合を再確認。
発振
左右で微妙に周波数が違います。
それぞれの回路で、独立して発振しているようです。

手持ちの日立製12AU7を2個、片方のchに使ってみましたが、発振しています。
12AU7に由来するものではなさそうです。

パラ止めなんて姑息な手段を試して見ます。
パラ止め
全く効果無しです。

BBSでARITOさんがオリジナルに倣って初段の位相補正を入れてみたらとのアドバイスが有りましたので、やってみました。
初段補正
補正の掛けた方だけ、綺麗に発振が止みました。スゴイ!
しかしBBSでは初段の位相補正を入れるなとの強い指示もあり、さぁどうしたものかと悩んでおりました。


2003年10月27日
BBSで破れ傘 刀舟さんから「NFB抵抗は4.7K+22Kパラですか?」との問い合わせ。
実機では3kΩパラで挿入しているので、1.5kΩです。
あれっ、オカシイなぁ、4.7K+22Kパラは約3.8kΩだぞ。
Ayumiさんからも「シミュレーションでは、約3.8kΩと出ましたが、合ってますかねー。 」との書き込み。
ますます、私のミスの可能性が大です。
出張中の為、ラ技2003年3月号が手元に無く、後日確認となりました。


2003年11月1日
NFB抵抗を3.8kΩとし、再度オシロスコープで確認しました。
綺麗に発振が止まっています。
ただ、D.F.を測定しようと負荷抵抗を外したところ、盛大な発振が起きます。
スナバーの代わりにスパークキラーを入れてみました。
1μFのコンデンサーだけでも発振はしません。
とても微妙な感じです。
D.F.はON/OFF方では測定し辛いですねぇ。
針の変化がチョットだけです。推定D.F.=20程でしょうか...
バックロードホーンからも気持ちのいい低音が出ています


破れ傘 刀舟さんから、新たな指示が飛んできました。
絶えず試聴
1;無帰還
2;NFB,20dB,補正無し、
3;NFB,20dB,微分補正50PF
4.;NFB,20dB,オリジナル補正
で試聴、
次ぎに電圧増幅段を差動2段に変更し1〜4,くり返し試聴スベシ
当然の事ながらデーターは記録しておく様!



2003年11月2日
測定するには妨害が多いので、思うように進みません(^^;
とりあえず、試聴優先で・・・
RNFBへの微分補正50pFの代わりに47pFを施しました。
私の耳・システムでは判りません(ToT)
しかし、スカッと気持ちのいい音です。
全段差動の時には6L6GCのやぼったさは感じましたが、このウィリアムソンの6L6GCは、パワフルです。

深夜、子供が寝静まった時を見計らって、初段の積分補正を掛けました。
オリジナルでは4.7kΩ・200pFですが、手持ちの関係で4.7kΩ・250pFとなりました。
オリジナルより幾分低い周波数でカットオフされます。
聴いてビックリ!!!!!
駄目です。
駄目!駄目!駄目!
押し詰まった音です。艶がありません。
この差は歴然です。ビックリしました。

「この回路を設計したウィリアムソンさんは、このような詰まった感じの音しか聴いていないのだろうかと、フッと思ってしまった。」です。

破れ傘 刀舟さんからは以下のメッセージを貰いました。
カット・オフを出力トランスより低くせざるをえなかった、
だから、P20,『現代版ウイリアムソン・アンプを発表出来る自分を幸せに思う』と締めくくりました。


2004年9月5日
某A氏設計のスペシャルツールにて周波数測定をやり直しました。
1Hzから10MHzまで一気に測定できます。
絶対値の校正は怪しいですが、相対値としては大丈夫と思います。
F特性

宿題だった差動化実験は、この測定器待ちだったワケでして、一区切りしましたので、実験開始です。
まずは、初段とPK分割を取り外し、ドライバー部分へ入力直結してみました。
おおっ、差動アンプだっ
普通に鳴りますねぇ。マイナス電源不要じゃん!!
と、新たな発見もあります。
ただ、12AU7による差動初段ではゲイン不足が否めません。
なんか、軽い感じの差動アンプになりました。
次は、初段を生かし、PK分割を使用せず、ドライバー部分に位相反転させるように配線しました。
プリアンプのボリューム位置がかなり変わりましたので、ゲインが高くなった証拠でしょう・・・
初段付の差動2段アンプ・・・なんかミュラードっぽいような・・・
ウィリアムソン型の6BX7ミニアンプをリファレンスにすると、変化がよく分かります。
特にシンバルの”シャーン”っていうのが、落ち着いた感じになります。
管楽器も生々しさが少し薄れます。
ん〜〜〜、ボクはウィリアムソンアンプの呪縛から離れられないようです。